日日是好日 『トウキョウ・ローズ』
北九州市若松区のエコタウン内にあるヒューマンブリッジ株式会社NKRC事業所です。
最近、仕事の事情もあって、午前3時を少し過ぎた頃に帰宅するときがある。
深夜から夜明けに変わりつつあるこの頃は妙な静けさがあって、カーラジオから流れる女性のDJの声が空間のすべてを支配している。
そんな時、8月になり『終戦記念日』も近いということもあって、ふと思い出すことがある。
戦争中、NHKの海外向けラジオ番組に『ゼロ・アワー』という『プロバガンダ放送』があった。
ゼロ・アワーとは軍事用語で、『行動開始時間』を意味する。
この頃、日米間で太平洋の島々において激しい戦闘が行われており、放送の内容は日本軍を鼓舞するものではなく、対戦相手、つまり『アメリカ兵』が対象で、もちろんすべて英語である。
その内容はというと、若い女性の声で『こんばんは、孤児のアンよ』で始まり、郷愁を誘う音楽などを流すのだが、実際に聞いたことなどないから具体的には書けないが、文献など読んでみると、概ねこんな感じらしい。
『明日の午後、勇敢な帝国海軍航空隊より寂しがり屋の皆様のために、爆弾のプレゼントをお届け致しますわ』とか『どうしてみなさんは冷たい穴の中に隠れていらっしゃるの?早く降伏してお帰りにならないと、退屈された奥様や恋人は、今頃他の男性と浮気の真っ最中じゃないかしら?』
また、日本軍の捕虜になった将校を番組に出したり、リクエスト曲の差出人名が実際に捕虜になったアメリカ兵の名前だったりしたらしい。
このような嫌味なセンスが当時の日本人にあったことに驚くが、昭和20年の大相撲夏場所(7月)が両国国技館より海外に向けて実況放送されていたことに更に驚きを感じる。
この放送、アメリカ軍の間で評判になり、女性DJに『トウキョウ・ローズ』というニックネームが付いた。
しかし、この『孤児のアン』に戦後、悲劇が待っていた。
日本の降伏後、進駐してきたアメリが軍の間で『トウキョウ・ローズ』とはいかなる女性なのかが話題となり、ついに一人の女性が名乗り出た。
彼女の名を『アイバ・戸栗』という。
本名は戸栗郁子(とぐり・いくこ)といい、親戚を訪ねて日本に来ていた日系アメリカ人だったが、戦争勃発により帰国できなくなり、英語力を買われてNHKに勤務したが、国籍はアメリカのままだったので、アメリカより国家反逆罪に問われ逮捕され、罰金1万ドル、懲役10年の判決を受ける。
実際にはトウキョウ・ローズに該当する女性アナウンサーは数名いたそうだが、詳細は不明のままだ。
服役後、彼女はシカゴで雑貨店を営んでいて、デーブ・スペクター氏がその頃に貰ったという彼女のサインを何かの番組で披露していた。
晩年には、最も困難な時でも米国籍を捨てなかった『愛国的市民』として表彰されたという。
結局、プロバガンダ(政治的宣伝)に翻弄された人生だったと言える。
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