日日是好日 『皮肉』
北九州市若松区のエコタウン内にあるヒューマンブリッジ株式会社NKRC事業所です。
ある官吏の家に一人の男の子が生まれる。
だが、出産を終えた母親は不安に怯えている。
『先生、生まれてきた子供は元気でしょうか?』
『とても元気な男の子ですよ』
『でも、私はこの四年間に三人の子供を失っているんです。グスタフもアイダもオットーも幼いうちにみんな死んでしまって。だから、子供を育てるのが怖いんです』
何とか気持ちを変えようと医者は話を逸らす。
『お名前はもうお決まりですか?』
『ええ、主人はアドルフォスにしようって言っておりましたけれど』
『となると、アドルフと呼ばれることになりますね』
『先生、本当にこの子は大丈夫でしょうか?』
『まあ考えてもごらんなさい、来年の今頃には歩き出しているんですよ。そして二年目を迎えるころには、おしゃべりに嫌というほど付き合わされることになるんです。想像しただけでも楽しいじゃありませんか、ヒトラーさん』
『ああ、どうかこの子に神のご加護を・・・・。』
これは、ロアルド・ダールという作家の短編『誕生と破局』という作品を要約したものです。
初出はアメリカの男性誌で、その時のタイトルは『素晴らしいお子さん』というものでしたが、あまりにも皮肉が強過ぎるということで改題されました。
サブタイトルは真実の物語とありましたから、恐らく誕生のいきさつは小説の通りだったのだろうと思います。
タイトルに反して、誕生のみしか書かれていません。
もし仮に、この子が他の兄弟同様に早逝していたら歴史はどうなっていたのだろうと考えてしまいます。
あの悲劇は起きなかったのではないかと。
ある意味、そこに皮肉が隠されているということでしょう。
このロアルド・ダールという作家、『チャーリーとチョコレート工場』の原作者でもあります。
ファンタジー小説も得意なら大人向けの毒のある作品もお得意のようです。
どちらが本当の姿なのか、このあたりが作者の持つ最大の皮肉なのかもしれません。
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