日日是好日 ちょっぴり文学好き 三島由紀夫著 『仮面の告白』
北九州市若松区のエコタウン内にあるヒューマンブリッジ株式会社NKRC事業所です。
たまには本棚を整理してみようと思い立ち、あれこれガザゴソと始めて見たが、手に取った一冊に作業は止まり、ペラペラとページをめくった。
それが『仮面の告白』。
三島由紀夫の自伝的作品である。
「自伝的」作品だから完全な自伝ではないのだろうが、内容は書かれた当時としてはかなり衝撃的で『同性愛』がテーマである。
自分が誕生した時の光景を覚えているという『私』が成長し成人となる過程において、男性とか死とか美についての『性的倒錯』が美しい文章で『遠回しに』書かれている。
そういえば、僕が『盥(たらい)』という漢字が読めるのはこの小説の書き出しのおかげだったなあ。
ある日、主人公の『私』は恋に落ちる。
彼女に対してある意味男性として健康的な欲求はなく、ただ一緒にいられればいいと思っていたが、デートの際、キスしてみることによって『ときめく』とか『別の欲求』などが感じられれば『よし、やっぱり僕は男だ!』と認識できると思い、実際にキスしてみたけれど『なーんにも感じなかった』ことで彼女とも疎遠になる。
それから、あれやこれやとあって大学を卒業し大蔵省に勤めだしたころ、その元カノと再会する。
元カノは人妻になっていて、仕事の合間を縫ってデートを重ねる。
でも、村上春樹の小説のようなラブシーンみたいなことは全くなし。
そして、元カノから出て来た言葉が『どうするのか決めて!』。
つまり、あなたが本気なら亭主と別れてもいいのよ、ってこと。
あと30分で帰るという元カノをダンスホールへ連れて行き、中庭のベンチで決断を迫られる『私』。
その時である、向こうのベンチにマッチョで腕に『牡丹』の刺青の男が仲間とワイワイやっていて、そのマッチョが気になって仕方がない。
マッチョな男と元カノとに体を半分に引き裂かれそうになり、『あと、5分だわ』という元カノの言葉にもう一度マッチョのいたベンチを見るともうそこにはもういなくて、空っぽのイスと小さなテーブルの上にこぼれた飲み物がギラギラと凄まじい反射をあげていた。
このラストがとにかくスゴイ。
『やっぱり僕は・・・・』っていうこと。
ちなみに、この作品の編集者は坂本一亀(さかもと かずき)という方で音楽家である坂本龍一氏の父親であります。
僕がこの作品において一番興味を抱く部分は、召集令状を受け取ったが、軍医の誤診で身体検査の後、即刻帰されたという部分で、一説には軍隊に行きたくないため様々な理由をつけ兵役を逃れたとも聞く。
だとすると、『性的倒錯』の部分はフィクションで本当に告白したかったのは『戦争へ行けなかった、もしくは逃げ出してしまった女々しい自分』ではなかったか、と思う次第である。
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