日日是好日 ちょっと、怖い話 『夏の日のこと』

北九州市若松区のエコタウン内にあるヒューマンブリッジ株式会社NKRC事業所です。

Sくんは小学4年生である。

ご両親は教育に熱心で、Sくんは夏休みだというのに毎日午前中は学習塾に通っていた。

帰り道、いつもの通り慣れた住宅街の路地の風景にSくんはどこか違和感を覚えた。

何故なら、奥の突き当りの電柱に細長い張り紙があり、近付いてみるとS君と同じ苗字が黒枠の中に『○○家』と書かれていて、おまけに苗字の下には『手首』のイラストがあって、伸びた人差し指が進むべき方向を指し示していた。

 自宅に戻り昼食の後、午後からは同級生達と公園で遊ぶ約束になっていたが、案内の張り紙が同姓ということもあって、その矢印が示す方向に向かってみることにした。

 どのくらいの距離を歩いて来たのか定かではなかったが、自宅とは反対の方向へ進んでいるのは間違いなかった。

 少し不安を覚え始めた頃、指先が示す角をまた一つ曲がると住宅地はそこで終わり、眼前に小高い丘があり、鬱蒼と茂る樹々をかき分けるように坂道が伸びていて、Sくんはその坂道を進んだ。

 登り終わるとそこは平たく整地されていて、平屋建ての大きな建物があり、驚いたことに先程までの白昼の風景が夕暮れに変わり、大きな夕陽が建物の向こうに今まさに沈もうとしていた。

 建物の正面玄関と建物の壁いっぱいの大きなガラスの窓がすべて明け放たれていて、中をよく見ると、黒い服を着た大勢の人たちがこちらに背を向けて座っていて、中から嗚咽する声が聞こえた。

 突然、嗚咽する声が止まり、同時にそれまで辺りを包んでいた蝉の声や街の喧騒がピタリと止んで、無音となった。

 すると、こちらに背を向けていた大勢の人達が静かに振り向き、無表情のたくさんの顔がじっとS君を見つめている。

 怖くなって後ずさりするSくんの背中に何かがぶつかった。

 振り向くと黒くて大きな男の人が立っていて、じっとSくんを見下ろしていた。

 Sくんは急いで坂を下り、来た道と反対の方向へ遮二無二走った。

 気付くとそこは午後から同級生達と約束の公園の前で、辺りは昼間に戻っていた。

 Sくんは今までのことをすべて話したが、信じる者は誰もいなかった。

 夏休みも終わり、登校日となったがSくんは教室に現れない。

 しばらくすると担任の先生がやって来て、悲しいお知らせがありますというと、S君が事故で亡くなったことを伝えた。

 教室では泣き出す生徒もいたが、あの日、公園でSくんの体験談を聞いた何人かはその話を思い出し震えた。

『あのね、黒い人達が並ぶ向こうにたくさんの花で飾られた立派な祭壇があってね、そこに僕の写真があったんだよ』

 

さあ、お仕事始めましょうか。


当事業所は安心の長期雇用・高待遇をキーワードに、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンという家電製品のリサイクルを業務にしている会社です。
元気いっぱい中高年の方を中心とした活気ある職場です。共に頑張り若松エコタウンを盛り上げましょう。

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