KIMURINの忙中有閑 『もっと、日光を』
北九州市若松区のエコタウン内にあるヒューマンブリッジ株式会社NKRC事業所です。
KIMURINの忙中有閑
『もっと、日光を』
中禅寺湖畔の金谷ホテルでランチの後、バスはいろは坂を下り『日光東照宮』に向かう。
雨は勢いを増し、止む気配は一向に感じられない。
土地勘も距離感もないので、どこをどう走ってどこに着いたのかわからない。土産物屋の駐車場らしい場所に停車したかと思うと、これから下車して東照宮へ向かうという。
バスガイドは同行せずここから専門のガイド氏が案内する。
鬱蒼と茂る樹々の間をすり抜ける僅かな午後の明るさを受けて雨粒のひとつひとつが浮き立って見え、開いた傘の縁が低く視界を遮るから視界が遠くまで届かない。
ましてや下を向いて水溜まりを避けながら石畳を歩くから参道の長さも実感することなく、前の人の動きが止まると同時に前を見上げた時、初めて入り口の石鳥居に気付いた。
ここでひとしきり説明があり、名立たる大名が献上した石や鉄でできた灯篭の説明などがあったが、いつもなら既に知っている内容であっても終いまで聞くが、この日に関しては耳を傾けず、視線を先回りさせて象や猿の彫り物の方を眺めていた。
さて、『陽明門』であるが国宝だそうである。
国宝などというものは博物館のガラスのケース内に収まっているものだとつい思いがちだが、建造物ゆえ当然の事ながら風雨に曝され、陽射しを受け雪も纏う。
当然、修復が必要になるのだが、この姿が未来永劫この場所に光り輝いていてほしいとつくづく思い、板垣退助が戊辰の戦の際、この場所が戦場となり東照宮が灰燼に帰す事に憂い、幕府軍を説得して戦を思い留まらせた気持ちがよく理解できる。
後で気付いたのだが、恐らくそんな彼のエピソードを顕彰するためなのだろう、帰路に就く車窓から道脇に板垣退助の胸像が見え、雨に濡れたせいもあって黒々として艶を帯び、凛として見えた。
その日、ついに雨は止むことはなかった。
窓は銀色に曇り、正面の広大なフロントグラスには車列のテールランプが滲んで、それをワイパーが規則正しく拭いながらバスは東京駅を目指す。
銀座4丁目の交差点から有楽町へ抜け、ライトアップされた東京駅が見えてきた。
夜の雨がいくらか小降りになった。
日光観光の一日が終わってしまうのだ。
もっと煌めきを、そして僕にもっと日光を。
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